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新年のごあいさつ(2022年 飯島会長年頭所感)

一般社団法人日本パン工業会
会 長 飯島 延浩

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様には益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げますとともに、平素より、製パン業界の発展に格別のご指導・ご支援を賜っておりますことに深く感謝し、厚く御礼申し上げます。

 2021年は、2020年に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大による対策に追われた年となりました。10月以降、ようやく緊急事態宣言が解除されましたが、長期にわたる外出自粛等による生活様式の変化の中で市場環境が変わり、以前のような状態には回復していない状況にあります。製パン業界におきましても、在宅需要の高まりから量販店等で一時的に売上が増加したものの最近では伸び悩んでいるとともに、売上が減少したコンビニエンスストアやフレッシュベーカリー等でも厳しい状態が続いています。また、消費者の節約志向は、昨今の物価上昇を受けて更に強まっているように感じられます。
 当会にとりましても、小麦、油脂、糖類等の原材料や包材の価格、電気・ガス・ガソリン等のエネルギーコスト及び人件費の高騰は、会員各社の経営に極めて大きな影響を及ぼしています。新型コロナウイルスについても、ワクチン接種や検査体制の普及が進み、また、治療薬の実用化も期待されますが、年明け以降、オミクロン株への置き換わりが進み、感染者数は再び急拡大に転じており、本年も予断を許さない状況が続くものと見られます。
 このような厳しい環境の中ですが、製パン業界は、食料の安定供給という非常に重要な使命を果たすべく、食品の安全確保及び従業員の感染予防対策を引き続き徹底しつつ、変化する消費者ニーズに的確に対応した製品とサービスの提供に努めてまいります。
 また、原材料・資材等の高騰に関しては、他業界と同様、企業努力の限界を超えているため、本年1月より会員各社がそれぞれ製品価格の値上げを実施いたしました。今後、この価格改定が消費者に受け入れられるよう、間違いのない施策を講じていく必要があります。加えて、コロナ禍での世界的な経済状況の変化の中で、原材料等の需給動向への影響を注視し、パン製造に不可欠な原材料・資材の安定調達には、日頃より十分注意しておかなければなりません。

 こうした新型コロナウイルスや原材料を巡る対応のほか、製パン業界を取り巻く諸課題にも引き続き対応していかなければなりません。消費者庁において本年3月に策定が予定されている「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」に関しましては、2019年、当会及び日本パン公正取引協議会では、「イーストフード、乳化剤不使用」等の強調表示をすることは、消費者に対し、様々な誤認を与えるおそれがあるため、食パンや菓子パンにおける当該強調表示を自粛するという自主基準を制定いたしました。当会といたしましては、消費者庁によるガイドラインの内容も踏まえ、今後とも、消費者に誤認を与えることのない、消費者の自主的・合理的な商品選択に資する、科学的根拠に立った添加物表示のあるべき姿の実現に向けて努力してまいります。
 適正取引の実現に関しましては、2021年4月以降、消費税転嫁カルテル、表示カルテルが効力を失いましたが、昨年12月末、農林水産省から公表された「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」を活用し、法令を遵守した取引ルールへの適切な対応等を通じ、製パン業界のあるべき姿の実現を目指して努力してまいります。
 全パン連さんにおける学校パン給食の推進につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大により、各地域で活動が思うように進まない面はあるものの、学校給食会や栄養士等の関係者から求められている国産小麦使用・減塩パンの開発や、その評価、意見交換を重ねるなどの活動を実施してきており、こうした取組みを今後も着実に進めてまいります。
 この他にも、食品ロス削減の主な取組である発注リードタイムの適正化、本年4月の施行に向けて今後具体化が進むプラスチック資源循環促進法に係る施策、低炭素社会実現に向けた対応、そして人口減少・高齢化の進展の中でのパン食の需要拡大に向けたPR・人材育成対策など、取り組むべき課題は多々あります。

 今後とも、業界全体として一致協力して課題への対応を図るとともに、お客様に喜ばれる価値ある製品の提供により、2022年が製パン業界、関連業界にとって充実した新しい前進の年となりますよう、一層努力してまいりたいと存じます。
 皆様におかれましては、本年も変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。