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容器包装の3R推進に係る自主行動計画

1. はじめに

 今日、パンは主食の一つとして、毎日多種類の製品が大量に製造され、全国にある小売店に配送され、消費者に購入、消費されるようになっている。これはパンを包装することにより、パンが清潔に保たれ、食中毒をもたらす微生物の汚染を防いでいることやカビの発生付着を抑制し、乾燥等の品質劣化を防ぐことができるようになり、日保ちするようになったことによるものである。包装は極めて重要な役割を果たしている。しかしながら生産量の増大に伴う容器包装廃棄物の増大は製パン業界にとっても大きな課題となっている。
 製パン業界では、消費者に良品をなるべく廉価で供給するため、コスト引き下げに努めてきており、容器包装についても、品質の保持、安全性の確保のような基本的な条件を維持しつつ製造コスト引き下げのため少しでも薄肉化、過剰包装の排除等の減量化の努力を続け、着実に削減してきたが、現在その削減状況は限界に近づいている。しかし、パンの容器包装の素材は、種々の容器包装の要件を満たすものとして、ポリプロピレン単一素材のフィルムが広く使用されるようになってきており、このためパンの容器包装だけの分別収集が可能であれば有効なリサイクル手法が見出せるものと考えている。
 また、パンの容器包装の再使用は安全性やコストの面から非常に難しく、どうしてもリサイクルに頼らざるを得ないが、リサイクルを効率よく推進するためには、製パン業界としてもリサイクルしやすい素材の使用割合を高める努力に加えて、市町村における分別収集の合理化の推進が不可欠であり、このたびの制度改正において新たに市町村による分別収集合理化の推進に対する拠出金制度が創設されることを踏まえ、より合理的なリサイクル事業が達成できるよう、市町村の事業との連携について検討する必要がある。
 製パン業界ではこれまで容器包装の再商品化に関して十分な対応体制が取られていなかったことにかんがみ、今後は容器包装の3R推進のための研究・調査に努め、有効なリサイクル手法について提案していく。

2. プラスチック容器包装の排出見込量及び再商品化義務量の推移

 製パン業界におけるプラスチック製容器包装の排出見込量は制度が実施された平成12年度の34,006トンから平成17年度には31,438トンへと減少が図られた。
 また、この間の再商品化義務量は、分別収集実施市町村の増加があり、3.7倍に増加している。

(単位:トン)

年 度 12 13 14 15 16 17
排出見込量 34,006 33,064 32,573 32,369 32,429 31,438
最商品化義務量 4,304 6,866 8,089 11,541 13,570 16,095

注1 温室効果ガスのなかで、最も構成比の高いCO2の排出量について、生産高を対比とした原単位ベースで削減を図る。削減目標の対象とする範囲は、本年4月に施行となった改正省エネ法の規制内容に準じ、従来の生産部門(工場)から工場・事業場(本社、工場、支社、支店、研究所、営業所、店舗等の事業者が設置している全ての事業所)に拡大する。基準年は2009年度とし、目標年次である2020年の間に2011年度から原単位で年率1%削減する。

注2 排出見込量及び再商品化義務量は日本パン工業会会員の合計で、排出見込量は指定法人への再商品化委託料算出の基礎となる数値であり、再商品化義務量は排出見込量に算定係数を乗じたものである。

3. 計画の目標

 今後とも引き続き、プラスチック容器包装の軽量化、薄肉化、リサイクルしやすい材質の使用等に向けた技術開発や環境配慮設計など、リデュースを中心に容器包装の3Rの推進に向けて努力するとともに、プラスチック容器包装の分別収集を実施している市町村との連携を図り、効率的なリサイクルを推進する。

(1)平成17年度の排出見込量を基準として、目標年次である平成22年度における排出見込量を2.0%削減する。

(2)平成17年度の再商品化義務量を基準として、平成17年度までに分別収集している市町村が分別収集効率化により、平成22年度における指定法人の引取量が2.0%以上削減できるように市町村への協力体制をとっていく。これにより、平成22年度の再商品化義務量を基準年度の2.0%以上削減することを目標とする。ただし、この再商品化義務量の削減は、平成17年度以降に新たな分別収集に取り組む市町村の追加分を除いて評価する。

(3)合理的かつ実情に即した容器包装の3R推進のための研究・調査(諸外国における実施状況調査を含む)を実施する。

4. 目標達成のための具体的施策

(1)排出見込量削減のための減量化対策

 パンの容器包装は主にポリプロピレン・フィルムを使用しているが、現在の厚さは、これ以上の薄肉化については熱圧着の際のピンホールの発生等による事故が多発するなど、製品の安全性、品質確保の観点から試行錯誤を繰り返して決まってきており、主要製パンメーカーでは30ミクロン程度と、各社ともその生産条件からみてぎりぎりのところまで薄肉化されている。従って、会員各社は、容器包装のフィルムの厚さを30ミクロンを目標に薄肉化に取り組む。
 また、これ以上の薄肉化を進めるため、包装資材メーカー、製造機械メーカーとの協力の下に薄肉化の可能性に対する研究、開発に取り組む。
 さらに、以下の項目に取り組み、目標達成に努める。

1) 多重包装の必要性の再検討

2) 無駄な包装の見直し

3) 袋のサイズの見直し

4) 不要部分の削減

5) 製品開発の際には容器包装の減量化の観点から製品設計に取り組む

(2)単一素材化、よりリサイクルしやすい素材の開発等

 現在主力はポリプロピレン・フィルムであるが、複合素材の使用を極力縮小する。
 また、よりリサイクルしやすい素材の開発、使用について、素材供給メーカー、包装資材メーカー、製造機械メーカーとの協力の下に研究に努める。

(3)再生プラチック商品の利用推進

 プラスチック製容器包装のリサイクルを効率的に推進するため、再生プラスチック製品の利用促進等の研究・開発に努める。

5. 市町村の引取量および再商品化義務量削減目標達成のための具体的施策

(1)容器包装3Rの推進に資するため、分別排出徹底に資する消費者啓発活動、環境情報の提供に努めるとともにこの問題に関する市町村の取り組みに協力する。

(2)パンの容器包装のリサイクル手法について研究するとともに、リサイクルし易いものに識別表示をして、分別収集の一助とすることを検討する。

6. 3R推進に関する調査・広報活動

(1)3R推進に関する事項についてホームページ等よる広報を行う。

(2)会員各社はこの自主行動計画に掲げる目標達成のための自社の取組状況を各社の情報として公表する。

(2)諸外国におけるプラスチックのリサイクル状況を調査し、有効なリサイクル手法について提案する。

7. 実施時期

 この自主行動計画は、平成18年度内に公表し、公表と同時に実施する。